コラム

2023/10/25

不動産売却

共有名義と単独名義は何が違う?共有名義の家を売却する際のポイント

共有名義の家を売却するには、単独所有の家とは違った手間と手続きが必要です。
住宅が共有名義になっていること自体は珍しくありません。
ただ、相続などの結果で共有名義となった場合にはトラブルの種が潜んでいます。

一筋縄ではいかない共有名義の家の売却。

どんなところがポイントなのか、みていきましょう。

共有名義とは

新築住宅や土地が夫婦や親子の共有名義になっているのはよくある所有形態です。
いわばありふれた所有形態ですが、どこが問題になるのでしょうか。

家をずっと所有し、共有者間同士の人間関係が良好ならば、問題は発生しません。
家を売却したり、共有者間の人間関係が悪化したりした場合に問題が発生するのです。
まずは共有の基礎を確認しましょう。

共有名義ではそれぞれの持分を設定できる

2名以上の個人や法人でひとつの不動産を所有している形態を共有といいます。
共有には所有権の割合が定められており、これが共有持分です。単に持分ともいいます。
共有持分は自由に設定でき、2人で2分の1ずつでも、100分の99と100分の1でも可能です。

 

全員の同意があれば不動産全体を処分可能

共有名義になっている不動産は、その共有者全員の同意があれば不動産全体を処分することができます
実際にも夫婦や家族で共有の家は数多くあります。
売却のために不動産業者と媒介契約を結ぶ際にも、共有者全員の同意を取ることが一般的です。
これは一部の共有者が勝手に不動産全体を売却してしまうのを防ぐ目的となっています。

 

自分の持分のみを売却

共有名義の家は自分の共有持分のみを売却することもできます。
これには他の共有者の同意は必要ありません。
その代わり、価格はかなり安くなります。
家族ならともかく、赤の他人と家を共有する状態は安定した状態とはいえません。
共有不動産を全部取得するのを目的に買取業者が共有持分を購入することもあります。
他人との共有はトラブルを起こしやすいのです。

 

ほかの共有者に買い取ってもらうことや分割請求も可能

自分の持分だけを売却しても価格は安くなってしまいます。
他の方法としては、ほかの共有者に自分の持分を買い取ってもらうことも可能です。
他人に売却するよりは健全な方法といえます。
また、共有物分割請求といって、持分の分だけ、不動産を分割することも可能です。
ただ、土地ならば分割請求は可能ですが、家だと分割請求は多くの場合できません。

 

共有名義の家を売る際の事前準備

共有名義の家の処分は、単独名義の家を比較しても
さまざまなリスクをはらんでいることがわかりました。
トラブルにならないためには、事前準備をきちんとして
共有者同士の足並みを揃えることが必要です。

単独名義の家を売却する場合には意識することのない、
共有名義の家を売る際の事前準備や確認事項をみていきましょう。

 

共有者の確認

最初は共有者の確認です。
家族だけで2名から3名程度であれば確認はすぐにできます。

問題は相続が繰り返され、誰が持っているのかわからないような家の場合です。

登記上の所有者だけでも数十名もいて、さらにそれ以外にも所有者がいて詳細が不明な場合は、
その家は所有者不明の家屋と分類されます。
空き家問題や所有者不明不動産の問題は、こうした共有名義からも発生するのです。

 

取りまとめ役の決定

共有者の中で取りまとめ役を最初から決めておくとよいでしょう。
全員で家の売却に関わるのは事実上不可能です。
不動産業者も窓口を特定してほしいと希望してきます。
複数の共有者にいちいち確認するのが困難だからです。
共有者は、取りまとめ役の共有者に委任状を作成して渡しておくとよいでしょう。
責任とできることが明確になります。

 

費用の負担割合の決定

不動産の売却にも費用がかかります。
代表的なものは仲介手数料です。
家によっては修繕費、あるいは解体費用がかかることもあります。
こうした費用の負担を誰が行なうのか、決めておくべきです。
これを決めておかないと、いざ費用が発生した際に
誰が負担するかでトラブルになりかねません。

 

共有名義の家を売る際の必要書類

共有名義の家の売却であっても必要な書類は
単独所有の家と比較してもそれほど多くありません。
ただ、それを共有者全員が用意する必要があります。
同居している家族であればそれほど負担はなくとも、
遠く離れている場合には書類を揃えるだけでも大変です。
共有名義の家を売却する際に必要な書類を確認していきましょう。

 

 

登記識別情報(登記済権利証)

かつては「権利証」とも呼ばれていた書類です。
2006年に変更され、「登記識別情報」という別の書類になりました。
このため、2006年以降に建築、あるいは購入した家は登記識別情報があります。
登記識別情報権利証不動産の所有関係を示す重要な書類です。

 

地積測量図・境界確認書

先祖代々所有していた土地では測量が行なわれていない場合もあります。
こうした土地だと買主から測量を求められることが増えてきました。
境界確認には所有者の承認が必要です。
共有名義の家だと、こうした手続きも時間がかかってしまうため、早めの対応をしましょう。

 

共有者全員が用意すべき書類

共有者全員が用意すべき書類として
実印印鑑証明書身分証明書住民票が必要です。
これは単独所有の家の売却でもほとんど変わりません。
契約書の押印は実印で行なわれるため、
できれば契約の場に臨席するのが望ましいでしょう。

もしさまざまな事情で出席できない場合は、事前の押印となります。
この場合は売却の意思を事前に司法書士に申述することが必要です。

 

まとめ

共有名義の家だからといって、それだけで家の価値が下がるわけではありません。
有者の意思が売却、あるいは所有に統一されている場合には問題は発生しません。
つまり、共有者の意思統一が共有名義の家には必要なのです。

 

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