コラム
2022/07/31
土地の購入
土地の購入に住宅ローンは使える?融資の種類を紹介
土地を購入して、その後自分好みの家を建てる。
こんな注文住宅を希望する人もいます。
ただ、そんな理想の家づくりにも思わぬ落とし穴があるのです。
実は、住宅ローンは建物建築も前提でないと貸してもらえません。
なぜそのような制度になっているのか、
注文住宅の場合はどのような流れで住宅ローンを借りるのか解説します。
土地購入に住宅ローンの適用はできる?
マンションを購入や、すでに建築されている住宅を購入する場合、
住宅ローンは特に問題もなく借りることができます。
ところが、土地購入だけでは金融機関は住宅ローンを貸してくれません。
これは住宅ローンとはあくまで「住宅」を取得するためのローンであるからです。
また、金融機関にとってみても、
建物が実際に建つまでは本当に居住する意志があるのかわかりません。
このため、土地と建物を同時に購入する場合とは異なる仕組みが必要となります。
土地購入で利用ができる融資とは
もちろん、注文住宅でも住宅ローンを借りることはできます。
ただ、それは建物が完成している場合の融資とは若干制度が異なるのです。
注文住宅のように、先に土地を購入してその後に建物を建てる場合には、
建物を建てる前提で土地だけに先行融資をしてもらうか、
資金が必要になるたびに融資を受けるつなぎ融資が必要となります。
土地先行融資
土地先行融資とは、土地建物のうち土地の部分の融資を先に受けることです。
まず建物の取得を前提として土地建物全体の融資枠の審査を受けます。
審査に合格したら受けられるのが、土地の代金部分の融資です。
そして建物が完成したら建物部分の融資を受けます。
この融資の特徴は、最初に土地建物全体の融資枠をある程度確定しておき、
土地部分の融資を先に受ける点です。
土地先行融資のメリット
土地だけを購入するには住宅ローンが使えないため、
建物の購入も前提条件とはいえ、
住宅ローンを利用できるのは大きなメリットです。
もし土地先行融資がなければ
自己資金で土地を購入しなければならないところでした。
土地先行融資のデメリット
土地だけを先に購入して建物は数年後に建築する、
といった長いスパンの計画では
金融機関がローンを貸してくれないことが考えられます。
また、土地購入時点で建物価格が確定していないこともあるため、
融資枠をやや多めにとっておくことも必要です。
土地先行融資にはこうした煩わしさがあります。
つなぎ融資
つなぎ融資とは多額の資金が必要になった都度、融資を受ける方法です。
土地の購入、建物の頭金の支払いといった資金需要のたびに融資を受けます。
そして建物が完成した段階で土地建物全体の融資を受け、
それまで借りていた融資をいったん返済する方法です。
つなぎ融資のメリット
つなぎ融資のメリットは資金が必要なタイミングで
その都度融資を受けられる点にあります。
資金が必要になるたびに審査を受けて融資を受けるのは大変です。
そうした手間が少ないことがつなぎ融資のメリットとなっています。
つなぎ融資のデメリット
便利な反面、デメリットもあります。
このつなぎ融資は通常の住宅ローンに比べて金利が高く設定されているのです。
金融機関にとっても何度も融資をするのは手間がかかります。
建物がまだなく、抵当権の設定ができないこともリスクです。
こうした手間とリスクが金利に反映されています。
金利負担が大きくなってしまうのがつなぎ融資のデメリットです。
さらに後述するように住宅ローン減税の対象でもありません。
住宅ローン控除について
2022年時点での住宅ローン控除は
控除期間が13年間でローン残高の0.7%までが減税されます。
この住宅ローン控除は土地と建物を別の時期に取得する注文住宅のような
建て方の場合は注意が必要です。
住宅ローンの借り方によっては住宅ローン控除の対象外となる可能性があります。
住宅ローン控除は土地先行融資のみ利用可
実は土地先行融資の場合には住宅ローン控除を受けることができます。
一方、つなぎ融資の場合には住宅ローン控除の対象外なのです。
つなぎ融資は便利な制度ではあるものの、こうした不利益もあります。
もし住宅ローン減税を利用する予定であれば、土地先行融資にすることが必要です。
土地を購入して建物を建てる時のローンの流れ
マンションの購入や完成された建売住宅の購入と違って
土地を購入して建物を建てる場合と比べて、
住宅ローンを借りるための手続きはやや複雑になります。
こうした場合に備えてどのタイミングで
どんな動きをするのかを知っておくほうがよいでしょう。
土地を購入して建物を建てる時の住宅ローンの流れをみていきましょう
土地購入時に計画を提出
土地先行融資でもつなぎ融資でも、
土地を購入する段階で建物の計画を添えて融資の仮審査の申請をします。
この段階では建物の計画は概要でも構いません。
建物の設備が追加されたり、
あるいは減らされたりすることはよくある設計変更だからです。
土地先行融資の場合はこの段階で本審査も受けることになります。
土地購入前後に建物の詳細設計へ
融資を受けて土地を購入したあたりから、建物の詳細設計と建築に入ります。
この期間中はアパートなどを借りて住んでいる場合には
住宅ローンと家賃の二重支払いの状態です。
この期間はなるべく短いほうがよいでしょう。
とはいえ、数カ月から半年くらいはこうした状態が続きます。
建物完成後建物ローンを申請
建物が完成すると建物部分のローン申請に入ります。
土地先行融資の場合はすでに本審査を合格しているので簡易な審査のみです。
つなぎ融資の場合はここで本審査となります。
つなぎ融資はこれまで借りた融資を返済する手続きが必要です。
建物への融資、抵当権の設定等が終了してようやく融資に関する手続きが終了します。
事前にしっかり計画を立て準備をしておこう
高度経済成長期以前は家を建てるのは土地と建物の取得は別々のタイミングが一般的でした。
それがマンションや建売住宅が登場したため、
購入と同時に土地建物の融資を受けることが一般的となったのです。
建物がない以上、金融機関としてもやや慎重になることはしかたがありません。
手続きがやや複雑になりますが、事前に計画を立てておけば大丈夫です。
制度の概要を知ったうえで適切な計画を立てておきましょう。