コラム
2022/07/22
土地の購入
用途地域とは何?ライフスタイルに合わせた用途地域を選択しよう
不動産業に携わっていない人にとって「用途地域」は聞きなれない言葉です。
不動産購入時に宅地建物取引士から説明を受けた程度でしょう。
ですが、用途地域を知るとそのまちの現在やその将来像までがみえてきます。
ここでは、用途地域の説明から、ライフスタイルごとのおすすめの用途地域まで解説します。
用途地域とはどんなもの?
用途地域とは、そのまちを計画的に開発するために用途に応じて決められた地域のことです。
用途地域は住居系や商業系、工業系など全部で13種が定められています。
まちのどこをどの用途地域にするかを決定するのは市町村です。
このため、市町村が目指すまちづくりが用途地域から垣間見えることもあります。
どんな用途地域があるのか
用途地域が13種類もあると混乱してしまいそうです。
ですが、用途地域は住居系、商業系、工業系と大きく3つに分類されています。
都市の駅前に高いビルが建ち並んでいたり、沿岸部に工業が集まったりしているのも用途地域の影響です。
それぞれの用途地域を系統ごとにみていきましょう。
住居系
住居系用途地域は第一種低層住居専用地域から準住居地域、田園住居地域まで8種類あります。
戸建住宅が多くなる第一種及び第二種低層住居専用地域、
マンションなども建てられる第一種及び第二種中高層住居専用地域、
多様な用途の建物ができる第一種及び第二種住居地域や準住居地域です。
最近新しくできたのが田園住居地域で住宅と農地の有効利用を目指しています。
商業系
商業系は近隣商業地域と商業地域の2種類。
近隣商業地域はいわゆる駅前の商店街のような低層の商業地のイメージです。
都心部の高層ビルが立ち並ぶような高度な土地利用がされるのが商業地域。
商業地域では高い建物が建てられるようになり、ほとんどの商業用途の建物を建築することが可能です。
工業系
工業系は準工業地域、工業地域、工業専用地域の3種類です。
工業専用地域に近づくほど大規模な工場を建築することに向いていきます。
準工業地域は町工場のような小規模な工場向きです。
中規模な工場や危険性のやや高い用途には工業地域が最適となります。
巨大なコンビナートのような設備を設置するには工業専用地域が適当です。
用途地域がわかればライフスタイルに合った土地を選べる
用途地域は文字通り様々な建物の用途を決める地域であることがわかりました。
では次は自分に合った用途地域を探す方法についてのお話しです。
静かな居住環境を求めていても商業地域ではそれは望めません。
自分のライフスタイルに合った土地を探すための方法を解説します。
用途地域の調べ方
今ではほとんどの市町村でホームページに用途地域に関する情報が掲載されています。
概要を知るだけならば、ネットからの情報で十分です。
用途地域の境界付近である場合など、
判断に迷う場合には市役所や役場の都市計画に関する部署の窓口で確認します。
窓口ではどの用途地域がどこに指定されているかを示した図面も販売されています。
プロの不動産業者もこのような方法で調査しているのです。
姫路市Webマップ
ここで姫路市を例にとってみましょう。
姫路市には姫路市Webマップ(https://www.sonicweb-asp.jp/himeji/)というサービスがあります。
このサイトの「都市計画」の中に「用途地域」が掲載されています。
住所で検索したり、地図を移動させたりして目的の場所の用途地域を調べることが可能です。
ちなみに姫路城は全域が第二種中高層住居専用地域でした。
ライフスタイル別おすすめの用途地域
具体的な探し方がわかったところでライフスタイル別におすすめの用途地域をご紹介します。
自分のライフスタイルに合った用途地域でないと、せっかくの新居でも不満がたまるものです。
用途地域にはその用途地域が目指す環境があります。
ライフスタイル別のおすすめ用途地域は次のとおりです。
①静かさを重視 第一種低層住居専用地域
②静かさと生活の便利さを重視 第二種低層住居専用地域、第一種居住地域
③交通の便や利便性を重視 近隣商業地域・商業地域
④お値打ちの土地を探すなら 準工業地域
ひとつずつみていきましょう。
①静かさを重視 第一種低層住居専用地域
閑静な居住環境や静かな住環境を目指すなら第一種低層住居専用地域が最適です。
この用途地域内では一部の例外をのぞいて店舗を建築することができません。
大学や病院も建築不可です。
これらの用途は不特定多数の人が集まりやすく、にぎやかになる用途といえます。
こうした人の集まる用途を排除した第一種低層住居専用地域は静かな居住環境を実現可能です。
②静かさと生活の便利さを重視 第二種低層住居専用地域、第一種居住地域
静かさと利便性を両立したいなら、第二種低層住居専用地域と第一種居住地域がおすすめです。
第二種低層住居専用地域ならコンビニ程度なら建築可能となります。
第一種居住地域になると、スーパーなどの規模も建築可能。
居住環境と利便性の両立はこれらの用途地域で可能なのです。
③交通の便や利便性を重視 近隣商業地域・商業地域
交通の利便性を重視するなら近隣商業地域や商業地域です。
これらの用途地域は駅前に指定されることが多い用途地域。
これらの用途地域ならある程度の利便性は確保されます。
店舗やオフィスも建築可能なので買い物や通勤にも便利な場所が多いのも特徴です。
④お値打ちの土地を探すなら 準工業地域
なるべく土地価格を抑えたい、賃貸なら家賃を安くしたいという要望もあります。
そうした場合には準工業地域がおすすめです。
準工業地域は工業系の用途地域ではあるものの、住宅から商業施設まで多様な用途を建築することができます。
工業系であることから地価が安いことも多いのです。
少々雑多な印象の街並みになるものの、いろいろなものがあったほうが便利、
という人には準工業地域もおすすめです。
まとめ
市町村のホームページなどで用途地域を記した図面をみると、
どんなまちを目指しているのか、おぼろげながらもわかるものです。
これを土地探しに取り入れ、自分のライフスタイルに合ったまちを探してみましょう。
にぎやかなところがよければ商業系用途地域の近く、
静かな環境がお好みなら第一種低層住居専用地域、といった具合です。
用途地域はそのまちの現在と未来を表しています。
市町村が公表してくれている用途地域の情報を活用しましょう。