コラム
2022/05/18
土地の購入
建築条件付き土地のメリット・デメリット
土地を探しているときに見かけることが多い「建築条件付き土地」という言葉。
建築条件付き土地は一般的な土地と何が違い、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
詳しく説明していきましょう。
建築条件付き土地とは?
インターネットやチラシなどに掲載されている土地販売の広告で「建築条件付き土地」という記載を見たことがありませんか?
建築条件付き土地とは、一般的な土地(宅地・分譲地)とは異なり、住宅を建てる建築会社があらかじめ決まっている土地のことです。
土地売買契約を結んだ後、一定期間内に、決められた建築会社と工事請負契約を結ぶことを条件として販売されるのです。
建築する住宅は、あらかじめ参考プランが用意されており、これを基に間取りや設備を決めていくことが多いです。
もし契約後に希望どおりの家が建てられないとわかった場合、一定期間内であれば、土地の売買契約を白紙解除でき、支払い済みの手付金や申込証拠金などはすべて返却してもらえるケースもあります。
このあたりは、住宅会社により異なるため、あらかじめ契約内容を確認しておくとよいでしょう。
「参考プランが決まっているなら、建売住宅と同じなのでは?」と思う方もいるかもしれません。
建売住宅とは、既に建っている家を土地付きで購入できる物件のことですが、建築条件付き土地は、土地を買ってから家を建てる物件のことです。
これを踏まえ、不動産会社の関係者の間では、建売住宅を「建て売り」、建築条件付き土地を「売り建て」と呼ぶケースもあるようです。
「建築条件付き土地でも、これから家を建てるなら注文住宅のように自由に家づくりができるはず」と考える方もいるかもしれません。
しかし、建築条件付き土地の場合、建築会社を自由に選ぶことは基本的に不可能ですし、注文住宅のように間取りや設備を思いどおりに選ぶのは難しいケースもあるようです。
もちろん、住宅会社によっては、建築条件付き土地であっても、住宅会社を変えられないだけで、設備や間取りなど自由に変更できるケースもあります。
建築条件付き土地のメリット・デメリットは?
建築条件付き土地の購入は、新築一戸建てに住みたいと考える人にとって一つの手段になります。
そこで、購入前に知っておきたい、建築条件付き土地のメリットとデメリットをご紹介しましょう。
【建築条件付き土地のメリット】
一般的な土地よりも割安なケースがある
建築条件付き土地は、一般的な土地と比べて割安なケースが多いです。
住宅会社からすると仲介による方法で、一般的な土地の上に建物を建てる場合、建物による利益のみとなります。
一方、建築条件付き土地の場合は、建物による利益以外に、土地による売買差益を見込むことができます。
ただし、これは住宅会社が自社保有の土地を建築条件付きとしているケースや、土地の販売会社と住宅会社が同一グループや関連会社の場合にのみ当てはまるといえるでしょう。
ある程度思いどおりの家”をスピーディに建てられる
建売住宅の場合、既に建てられた住宅を購入するため、使い勝手が悪かったり、好みではない部分があったりするでしょう。
この場合、必要に応じてリフォームしなければなりません。
一方、注文住宅の場合、思い通りの住宅を建てられますが、時間をかけて建築会社選びや間取りづくりを行っていくため、時間がない人にとっては不向きであるとも言えます。
その点、建築条件付き土地の家づくりは、建築会社と参考プランが決まっているうえ、一定のプラン変更が可能なため、ある程度思いどおりの家をスピーディに手に入れられるでしょう。
家を建てる過程をチェックできる
建売住宅の場合、既に建てられた家を購入するため、基礎や躯体工事、内装工事などの過程を見ることはできません。
約20年前に制定された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」により、工事の不備や欠陥は著しく減少しているといわれますが、建築会社の施工能力によっては生じる可能性があります。
その点、建築条件付き土地は家を建てる過程が見られるので、購入者自身が確認したり、場合によっては第三者機関に検査を依頼したりすることができます。
【建築条件付き土地のデメリット】
建築会社を選べない
建築条件付き土地は、指定の建築会社によって設計・施工が行われる前提で土地が販売されます。
そのため、気に入っている家を建てた建築会社や建築士がいても、家づくりを依頼することは出来ません。
“すべてが自分好みの家”は建てられない
建築条件付き土地を購入しての家づくりにおいて、参考プランをベースにしなければならない住宅会社の場合、「小屋裏収納をつくりたい」「ビルトインガレージにしたい」などの大きな間取り変更は出来なかったり、追加費用を支払って変更することになったりする可能性があります。
また、内外装やキッチンなどの設備についても、好みの素材や商品を選ぶというより、色や柄を選べる程度が多いようです。
つまり、注文住宅のように、家族構成やライフスタイル、自分たちの好みにぴったりと合う家を建てるのは難しいといえます。
建築条件付き土地を購入する際の注意点として、契約のタイミングをよく確認することが挙げられます。
例えば、土地購入契約から住宅工事請負契約までの期間が短すぎると、間取りや内外装のプラン決めの時間も短くなるためじっくりと検討できないかもしれません。
また、契約のタイミングについては、建築条件付き土地の購入契約と、工事請負契約を同時や数日間で結ぶように促されることもあるようです。
建築条件付き土地の購入契約は、違約金の請求がない白紙解約を特約として付けるケースがありますが、工事請負契約は白紙解約が難しく、違約金を支払うケースもあるようです。
思いどおりの家が建てられない可能性も考慮し、2つの契約を同時に結ばないように注意してください。
なお、工事請負契約の締結期限は、一般的に3カ月間とされることが多いようです。
建築条件付き土地は結局安い?高い?
建築条件付きの土地のメリット・デメリットを考慮すると、以下のような方にはオススメといえそうです。
- ある程度自分たちの好みの家を建てたいけれど、土地購入や家づくりの費用は抑えたい
- 建築会社や土地を探す時間や労力をかけられない・かけたくないけれど、戸建住宅に住みたい
- 建築工事の様子を見たいし、必要に応じて瑕疵(工事不備や欠陥など)のチェックもしたい
一方、以下のような方建築条件付きの土地をあまりオススメできないかもしれません。
- 家族構成やライフスタイル、自分の好みにぴったり合う家を建てたい
- 自分たちが気に入る建築会社を探し、その会社と一緒に家づくりを楽しみたい
費用面から考えると、家にこだわりたい人にとっては間取りや設備の追加費用が発生するために高くなるといえるでしょう。
満足できるマイホームを手に入れるためには、予算や間取りはもちろん、いつまでに入居したいか、建築会社は選びたいかなどの希望を踏まえたうえで土地を選ぶことは重要です。
今回ご紹介した建築条件付き土地のメリット・デメリット、購入する際の注意点などを参考にして、自分たちに合う家づくりを進めましょう。
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